夏の青空は好きだけど、日影も同じように大切にして

じめじめした、雨続きの日々にいったん別れを告げ、今日は青空。正座して梅雨明け宣言を待っております(笑)。

晴天の日差しももちろんうれしいのですが、雨の当たらないウッドデッキもこの時期は日影が生まれて我が家のおすすめスポットであります。

 

「とにかく明るい家を」という要望に応えて、大きな窓を闇雲に設けるのは簡単です。しかし、それでは空間が平坦になり、かえって落ち着かない場所になってしまいます。

 

SNSで素敵だなと思う家を保存し、自分たちの理想を形にしようとする。それはとても楽しいプロセスですが、一方で情報の海に溺れ、「本当に自分たちが求めている心地よさとは何か?」という迷路に迷い込んでしまう方も少なくありません。 

今回は、デザイン感度の高いあなたにこそ知ってほしい、数値や見た目を超えた「住まいを仕立てる」ということについて書こうと思います。 

「映え」の先にある、五感の解像度

Instagramで「いいな」と感じる写真の正体、それは何でしょうか? 当事務所が大切にしているのは、「五感に響く素材の力」です。

 

例えば、地元・浜松が誇る天竜杉の床。素足で歩いた瞬間に伝わる、しっとりとした温かみ。冬でもヒヤッとしないのは、杉の細胞が空気をたっぷり含んでいるからです。量産型の合板フローリングには出せない、この「足触り」という解像度こそが、毎日の暮らしに理屈抜きの幸福感をもたらします。 残念なことにこれは写真では伝わらない。

 

また、壁に採用する漆喰左官は、職人が鏝(こて)一本で仕上げる手仕事の結晶です。和紙を通した障子の柔らかな拡散光が、漆喰の微細な凹凸に反射し、空間に独特の陰影と奥行きを与えます。この「光の整え方」一つで、デジタルな日常で疲れた心は驚くほど解きほぐされていくのです。10年以上たった今でも、我が家ではビニール壁紙が一ミリもない壁の陰影にうっとりする日々を楽しんでいます。 

「薄いダシ」をたくさん作るより、「濃いダシ」を少しだけ

30代、これから子育てや仕事で忙しくなる世代だからこそ、私はあえてこう提案します。「建物の面積を1坪減らしてでも、素材や外構の質を上げましょう」と。 

 

大手量産メーカーが競う「坪数」や「最新設備」は、いわば料理における調味料のようなもの。対して、構造(骨組み)や本物の素材、そして庭の緑は、料理の「ダシ」そのものです。 「薄いダシをいっぱい作るなら、ギュッと濃いダシを少し作ろう」。これが私の設計哲学です。 

 

かつて私が20キロのバックパックを背負って訪ねたスイスの「聖ベネディクト教会」。巨匠ピーター・ズントーが設計したその空間は、思いのほかこじんまりとしていました。しかし、そこには極限まで研ぎ澄まされた素材の密度と、静謐な「居心地」がありました。 家も同じです。100年後の風景を創るような、時を経てシルバーグレーに美しく古びていく素材を選ぶ。傷さえも家族の歴史として愛着が持てる。そんな「一品生産」の家づくりこそが、本当の意味でデザイン感度の高い生き方ではないでしょうか。 

私の勧めたい暮らしの重要な「選手」

「自然素材が好き」と言うと、情緒的な話ばかりだと思われがちですが、私は一級建築士として「数値(ロジック)」も極めてシビアに見ています。 住まいの安全と経済性を支える耐震等級3や省エネ等級5以上は、もはや「安心のインフラ」として当事務所では標準です。 デザインをしながら性能も同時に考えています。 ですから、「こんな間取りで建ててもらえますか?」とマイプラン持参しました、いうのはあまり得意ではありません、実は。 依頼主の思い込みが先行しすぎて費用や構造が破綻していることが多いから。

 

例えば、私がリビングに推奨する「障子」。これは和の情緒を演出するだけでなく、窓際にもう一つの空気層を作る「簡易的な断熱層」として非常に優秀な働きをします。 また、薪ストーブのある暮らしも、単なる憧れではなく、薪の調達から火を眺める時間までを含めた「自分流の暮らしのソフトウェア」の提案です。

あなただけの「答え」を探す、駆け込み寺として

家づくりは、ステイタスやハコを買うことではなく、自分や家族がどう生きたいかを再定義するプロセスです。

 

もしあなたが、ハウスメーカーの画一的なプランや、営業マンの契約攻勢に違和感を抱いているのなら、ぜひ当事務所を「家づくりの駆け込み寺」だと思って訪ねてみてください。

 

「心地よい寸法」や、「アナログな温かみ」を大切にしながら、実際に現場で手を動かし、木や土に触れてきた私だからこそできる提案があります。「流行を追うのではなく、自分たちの価値観で決める」。 そんな信念を持つ依頼人と共に、10年後、20年後に「この家で良かった」と笑い合えるような、最高の仕立ての一着を創り上げていければ幸いです。

 

大林勇設計事務所は、浜松市浜名区にある「木の家に暮らす愉しみ」をデザインする建築設計事務所です。 土地探しから薪ストーブの導入、古民家リノベーションまで。デザインと性能を両立した「あなた流の家づくり」を全力で応援します。

 

浜松市・大林勇設計事務所