こんにちは。浜松の「木の家づくり応援団」、大林勇設計事務所の大林です。
図書館で、BRUTUSの中に興味惹かれる特集が有ったので、借りてみました。
設計の打ち合わせをしていると、間取りの次に熱くなるのが「窓」の話です。窓は単なる「採光や換気のための開口部」ではありません。外の世界と家族を繋ぐインターフェースであり、その家の「暮らしの温度」を決める大切な要素だと私は考えています。
今回は、私が窓の設計で大切にしていること、そしてそこに込めた「私らしさ」について少しお話しします。
「3A」のリスクを超えても欲しいもの
かつて、ある家づくりの打ち合わせで私は「ここにトップライト(天窓)を付けたいですね」とボソッと言ったことがあります。トップライトには、私が勝手に名付けた「3A」のリスクが伴います。つまり、「暑い、雨漏り、洗えない(思いついた3つの頭文字がAでした)」。
それでも、屋根から落ちてくる垂直の光は、空間に劇的な変化をもたらします。
例えば、私がベルリンで訪れた「ユダヤ人博物館」では、切り裂かれたような空間から落ちる光が深い感情を揺さぶっていました。住宅でも同じです。リスクを恐れて「無難」を選ぶことで、その家にしかない面白みが失われてしまうのはもったいない。最終的には施主さんが「やってみてよ」と肯定してくださり、その結果、階段の上部に設けた窓から空が見える、とても明るく心地よい住まいが完成しました。 今でも貴重な光が降り注いでいます。
障子は「高性能なフィルター」
当事務所の家づくりに欠かせないのが「障子」です。和室に限らず、リビングなどにも積極的に取り入れています。障子の最大の魅力は、和紙を通した柔らかな拡散光です。これが天竜杉の床や漆喰の壁に反射した時、理屈抜きの「心地よさ」が生まれます。
また、理系的な視点で見逃せないのが「断熱性能」です。障子は窓際にもう一つの空気層を作る簡易的な断熱層として機能します。私自身、自宅で冬場の冷気が障子一枚で劇的に和らぐのを実感しています。性能というロジックと、光という感性。障子はその両方を満たしてくれる優れた道具なのです。
庭を「暮らし」の一部にする大窓
家を建てる時、私はよく「建物の面積を少し削ってでも、植栽に予算を回しましょう」と提案します。なぜなら、窓の向こうに瑞々しい緑があるだけで、住まいの魅力は数倍に跳ね上がるからです。
私の自宅では、全開できる大きな窓を設け、その向こうに植栽を配置しました。窓を開け放ち、春の風を採り入れた瞬間の「ああ、気持ちいいな」という感覚。子供たちが庭でセミの抜け殻を探したり、走り回ったりする姿をリビングの特等席から眺める。そんな何気ない日常の「愉しみ」をデザインすることが、私の仕事の醍醐味です。
既製品ではない、自分たちらしい窓
ハウスメーカー時代、私はどこか画一的な窓の配置に違和感を持っていました。独立後、ある造園屋の友人の家づくりを手伝った際、彼らは「どうしても木製の窓がいい」と言って、岐阜の古道具屋から古いガラス入りの木製建具を買ってきました。
それを大工さんと工夫して納めたのですが、アルミサッシにはない、なんとも言えない温かみのある風景が出来上がりました。もちろん、現代の住宅には耐震等級3や省エネ等級5以上の性能が不可欠です。しかし、そうした数値(ハードウェア)の上に、住まい手のこだわりや愛着(ソフトウェア)をどう乗せていくか。
窓一つとっても、依頼主の数だけ答えがあります。
もしあなたが、今の住まいの窓からの景色に満足していなかったり、もっと光を愉しみたいと感じていたりするなら、ぜひ当事務所を「駆け込み寺」だと思って訪ねてみてください。 パソコンで図面を書くだけでなく、実際に現場で手を動かし、意見を交わしながら、皆さんにとっての「最高の景色」を一緒に探していければ幸いです。
浜松市で「木の家に暮らす愉しみ」をデザインしています。
土地探しのご相談から、薪ストーブ、古民家リノベーションまで、お気軽にお問い合わせください。
