コケそうな家を建てないために
挑戦的な見出しから始まりますが、ちょうど専門学校で住宅設計の様子を見ていたので、問題提起の一つとしてメモ。
大学Ⅰ年生相当の学生が住宅設計をするのは、本当に難しく挑戦のしがいのあるカリキュラム。
階高と階段の考え方が住宅の全体に大きく影響することが、やはりⅠ年生には難しい。
まずは、階高の設定をどう考えるか? 2.5~3mの間で色々な考え方があるだろう。
昔、有名俳優の出演していた住宅のCMで、「ウチは、天井が高くていい」と天井高さ2.6mをアピールしていた。天井高さで2.6mというと、木造住宅の場合、階高で3m位になるだろうか。一段でどれくらい(18センチとか20センチとか)上がるか(蹴上げ寸法(けあげ)と呼ぶ)を考えると割り算の結果、段数がはじき出される。段数が出たら一段の幅(踏面(ふみづら))と掛算すると階段の長さが出る。
すると、「こんなにスペースを使うのか!」と気づく人と気付かない人がいる。住宅に関わる仕事をしていてもそう。階段はとても場所を食うのだ。
階高=蹴上x段数・・・合理的に階段を解く
では限られたスペースの中で階段のスペースを減らすには? そう、段数が減ればいい。階高そのままで段数を減らすには1段の上がり寸法(蹴上げ寸法)を増やせばいい・・・、ちょっと待って。 階段が急になるではないか!
ここで考えを改めたい。 蹴上寸法そのままで段数を減らす、おのずと階高は低くなる。ただ、低くするにも限度があり、建築基準法施行令第21条より、居室の天井高さは2.1m以上と定められている。2.1mは抵抗あるとしても2.2mくらいなら案外行ける。そして天井が低くなると縦横比の関係で感覚的に広く見えるマジックもある。天井を低くできると、階高も低くできる。 2.5~2.7mは設計の経験あり。 結果、建物の外観も低くなる。 見た目のバランスも良くなるし、セコいことだが外壁も断熱材も減ってコストダウンにもなる、さらには暖めたり冷やしたりする空気の容積も減る。 省エネでいいことばかりではないか。 体重70キロの人間が、2階に上がるのに2.7mまで上るのか、3mまで上るのか、この30センチは例えば50年でカウントするとかなり大きい。
興味が湧いたのでついつい計算。
2階に上る回数を1日10回と仮定。
差0.3mx10回x365日x50年=約5万5千メートル。エベレスト6個分! まあ、健康には良さそうだが削減できるなら無駄な昇り降りは減らしたい。
バランスがいい家が増えると街並みにも優しい
建物のプロポーションを整えて、高さが低くなるとどうなるか? 北側に建つ家の日当たりが向上する。威圧感が減る。
自分の家を建てるときに、自分の家がどんな影を落とすのかまでイメージできる一般消費者は少ないと思う。もう少し、何とか配慮してくれたら良かったのに、という現場に遭遇することも何度かある。
勾配係数が急であるほど、奥に行くに従って屋根の高さが増し、片流れの急勾配の場合、2階建てのつもりでも北側の住人にとっては3階建てに等しい圧迫感。
階高を考慮して、屋根の形に配慮する。みんながそんな意識を持つときっといい街並みができるはず。 そんな事考えながら日々、健康のためにジョギングしています。
