設計の際に心がけていること

「すわりのいい」空間

 先日、お引渡しを終え、写真を見ながら、考えていたこと。

若い頃量産型ハウスメーカーで、教科書の例題のようなプランを山ほど見てきたこともあり、居心地の良い家って何だろう?というのは、継続していつも心のなかにある設計のテーマ。

 

遠足のバスに乗ると、やんちゃ系の男子は必ず後部座席を占領する、とか、誰しも経験したことがあると思いますが広大な宴会場でも端から埋まっていくのは、人間の本能。 やはり動物の本能として壁を背にすると安心するものなのです。後方から攻撃する敵が居なかったとしても、です。 

 

落ち着く家というのは、居続けたくなる「すわりのよさ」が肝。 インスタ映えとは、また違う尺度で、住まいの良さを考えたいと思います。

盲腸のような「たまり」空間を作る

LDKを直列にドーンと並べるのは、ありがちな手法。 当事務所では、配置をひとひねりしてL字に配置したり、あえて盲腸のようにポコっと凹みを作ったり、LDKをどう組み立てるかが落ち着く「たまり」を作るのは、コツなのではと考えています。

 

店舗や公共建築と違って、知らない人が勝手に入ってくる空間ではないので、住む人の感覚を大切に空間を組み立てていくのが良いと思います。

 

壁や建具で安易に区切ることが本当に必要か?

少なくとも、私が建築業界で仕事をし始めたときに比べて、住宅の物理的性能は確実に向上しています。 そのため、正しく作れば寒暖の差はほとんど無く、居室と廊下のような区切り方をするのではなく、ワンルーム的に設計すると部屋を広く使うことが可能。

 

住んでくださる家族の顔を思い浮かべながら、そんな事を考えて設計しています。