改修と新築で耐震性能をどう考えていくか

最近は、耐震改修関係の相談をよく受けます。 やはり、能登半島地震の影響は大きく、一般市民と同じように建築技術者である我々も如何に安全な建物を設計するか、改修するかに頭を痛めています。

歴史的に古い街に多い、瓦屋根の家屋の全壊の映像が多く見られます。倒壊時に土煙が多く上がり、おそらく瓦を土で固定していた時期の「重い屋根」だったものと思われます。 現在、瓦の固定は桟木に釘で打ち付けるものが多く、瓦=危険とは、言い切れないと私は考えています。

瓦自体は歴史も長く、耐久性・耐火性・耐候性に優れた材料で有ることは疑う余地もありません。 採用の際の考え方が重要です。 建築基準法ではガルバリウム鋼板などの軽量な屋根荷重とは異なる重量を想定し、構造検討をすることになっています。

昭和56年以前の建物は、震度5程度の地震に耐えうる旧耐震基準に基づいて建築された建物であり、現在頻繁に観測される震度6、7の地震に対しては不十分であると言われています。

当時の家に多く見られる、南側に大きく確保された掃き出し窓の形状、量を考えるとともに、現存する壁を構造用合板や筋交いで補強し、耐力壁の性能(壁倍率)を向上させ、安全な住まいへと変えていくことがもっと見直されていかなくてはいけません。

なお、来年令和7(2025)年4月の法改正により、新築建物では4号特例という審査の省略部分が見直され、同時に耐震性能の考え方もランクアップします。

建築士は技術者としての能力を高めながら、社会に貢献していきたいものです。