青春18きっぷで「聴竹居」に逢いに行く

こんにちは、大林です。

 

年末にふと、2024年はいろいろ新しいこと、今までやってみなかったことをやってみよう、と頭に浮かびました。

 

そこで、タイトルの話です。

 

 京都府の大山崎(ウイスキーで有名なあたり)にある、藤井厚二という建築家がかつて設計した、登録有形文化財の「聴竹居(ちょうちくきょ)」の見学に行くことにしました。 建築家の名前も建物の名前も20年以上前からもちろん知っています。 ただ、行こうと思えばいつでも行ける場所ってなかなか先延ばしで行かないものです。 特に京都と大阪の間にあるので、新幹線だと確実に通過する旅程を組みがちです。 隣には、元々の大山崎山荘に、建築家安藤忠雄が設計した新館を含む、大山崎山荘美術館があり、建築好きには堪らないエリアです。

 

 見学日の都合で平日のため、家族抜きで一人での訪問です。 一人であれば、早起き&脚力にモノを言わせる力技の自由旅ができます。 となると高校生の時以来の青春18きっぷを金券ショップで調達し、朝6時発の在来線での一人旅です。 なお、青春18きっぷに年齢制限はありません。 

 

 高速道路の運転とも、新幹線の流れる車窓の風景ともまた違い、関ケ原や彦根など歴史ファンならワクワクするような地名に触れたり、随分と山の上に建つ岐阜城を眺めながら物思いにふけったり、本を読んだり、居眠りしたり、あっという間の4時間でした。

 

 近代的な京都駅を超えて、たどり着いた山崎駅は、驚くほどこじんまりとしています。 駅自体は、わが町細江町の気賀駅くらいなのですが、ただ大きな差は駅前に実にひっそりと千利休由来の国宝の茶室「待庵」を有する、妙喜庵という仏教寺院があること。超えられない差があります(笑)。 

 

 踏切の向こうの落ち着いた住宅地に続く坂道を少し登って、やっとお目当ての聴竹居にたどり着きます。 ずっと逢いたかった建築界の伝説のベテラン選手に逢ったような気持ちになります。 内部の写真をベタベタと掲載したいのですが、SNS公開厳禁で自己の資料用のみの撮影という約束ですので外部写真のみにしておきます。

 

 建築家藤井厚二は、日本の気候に適応した伝統的技術を見直しながら、欧米の椅子式のライフスタイルを組み合わせ、現在の日本の住宅に近い、環境共生住宅の原点とも言える、実験住宅5棟目(!)の「聴竹居」を設計し、自宅として暮らしました。

 

個人宅の見学はスケールがとても身近なので、説明を聞きながら非常に興味深く隅々まで眺めることができました。 また、所属する静岡県建築士会でも、歴史的建築物の保護・活用に関わるグループで勉強中のこともあり、保護の観点から良い経験ができました。 京都・大阪方面に出かける際には、予約必須ですが、ぜひお立ち寄りを。