Sさんは、非常にこだわりのハッキリされている御家族で、所有物が非常に洗練されていると同時に少なかったことが今でも非常に印象深い。 「引越しが多かったのでモノを持たない生活に慣れているんですよ。」 この発言に非常に「ハッ」とさせられ、無駄なこと所有することを非常に考えさせられた。 私自身の引越しの荷物整理の際、捨てるかどうか悩んだ時はSさんの顔が脳裏に現れ、随分と断捨離のお手伝いをしていただいた気がする。
そんなSさんだったので非常に割り切りもはっきりしていて、「色が変わってもいいから昔の木造の学校みたいに杉板無塗装でいいです。」とか「雨落ちの部分は自分で石でも並べるから雨樋不要です。」など、私が提案すると普通却下されそうなことを採用していただいたのが印象的だった。
いまでもたまに近くを通ると顔を出すのですが、無塗装の杉板は非常にいい色になり味わいが増し、イブシ瓦は相変わらずどっしりとした風格を持っている。 「素の家(すのいえ)」と名付けて良かったと思える存在感を相変わらず持っている住まいだ。
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